変形性股関節症

”変形性股関節症”とは?

”変形性股関節症”は意外と知らない人が多いです。
しかし、先天性股関節脱臼などと深く関わりがあります。

足を開脚で開く装具をつけていた、ご家族に股関節を手術した人がいた、など心当たりありませんか?

変形性股関節症とは、何らかの原因もしくは原因不明で、股関節の軟骨が摩耗し、関節可動域の減少・疼痛・歩行の崩れ・生活の制限などをきたす病気です。

主に1次性と2次性に大別されます。

1次性:原因不明(加齢や負荷の増加など)
2次性:先天性や後天性の問題による生じる

先天性:寛骨臼形成不全(骨盤側の被りが狭い)、先天性股関節脱臼
後天性:壊死や骨形態の異常による接触など

日本は2次性の変形性股関節症が圧倒的に多いのですが、国民の有病率は1.0~4.3%(男性0~2.0、女性2.0~7.5)と決して高いわけではありません。

変形性膝関節症と比較して若年の女性に多い特徴があり、これは、発症年齢が40~50歳位であることが影響しています。

変形性膝関節症よりも若年で発症するため、長期化しやすく、就労中の方はとても大変です。
変形性膝関節症と同様、筋力を落とさないことは非常に重要ですが、管理が難しくなります。

悪くなる仕組み

まず変形性股関節症の仕組みを理解しましょう。
変形性股関節症は大腿骨頭に圧力が集中することで痛みが出ます。この痛みが出ることでかばって動こうとします。

変形性股関節症

”変形性股関節症”をかばった時の弊害

痛くなった時に人はどのようにかばうのでしょうか?

運動連鎖

骨盤を悪い方に倒すことにより、大腿骨頭にかかる圧力が減ります。
ところが、、、
骨盤を倒した分だけ、
・腰椎を反対に移動させる(右向き紫矢印参照)
・膝を内側にいれる
右向き紫矢印参照
これによりヤジロベーの出来上がりです。

大腿骨頭に骨盤がうまく被さることで圧力が分散されますが、腰椎・膝・足部が異常な位置になります。

この繰り返しにより股関節以外の関節が変形した場合、どうなるでしょうか?
軽度であればよいかもしれませんが、何年も経過した状態では関節の構造が変化してしまうことがあります。
特に腰椎(腰の骨)は、位置が左右に変化していても、本人はほとんど気づかないことが多いです。

股関節以外を見直した方がいい

変形性股関節症と脊椎の病的な相互関係を

Hip Spine Syndrome(股関節ー脊椎ー症候群)と呼び、

変形性股関節症由来の変形性膝関節症をcoxitis kneeと呼びます。

 腰椎の構造が変化した場合

腰椎が変形することで骨盤の位置が変化し、足の長さが変わってしまうのです。
これを「機能的脚長差もしくは見かけ上の脚長差」と呼びます。
足の骨自体が短くなっても足の長さが変化します。
これを「構造的脚長差またはX線学的脚長差」と呼びます。

 coxitis knee(変形性股関節症由来の変形性膝関節症)は、
・機能的・構造的脚長差を調節するため(足の長さの帳尻合わせ)
・大腿骨頭の圧力を分散させるため(痛みの軽減)
これらのために、仕方なく発生してしまったのです。

 股関節の痛みをなんとかしたい・動きを良くしたいと考えるのは普通のことですが、他の部位の爆弾が大きくなっていくことを理解して頂けると嬉しいです。

変形性股関節症は病気ですから、遺伝や体重、運動負荷が必ずしも悪化させる要因とはなりません。

ですから、手術に至るかどうかは誰もわかりません。

手術の適応は医師が判断しますので、医業の場を奪って病院に行かせないのは一番リスクのあることです。

手術後の能力は手術前の能力に依存します。

整形外科の一線で働く理学療法士は、前述した Hip Spine Syndrome に悩まされているはずです。私もそうです。

手術するしない関わらず、股関節以外のコンディションを保つことは、今後の人生を左右しかねない重要な要因なのです。