五十肩

”五十肩”とは?

五十肩は、今では肩関節周囲炎という名前で知れ渡っている病気です。
50歳代中心に起こる、イマイチ発症原因がわからない組織の炎症です。

肩関節周囲炎は
adhesive capsulitis(癒着性関節包炎)
Frozen shoulder(凍結肩)
と同義として捉えられています。

癒着性関節包炎は、関節を包む袋(関節包)が炎症を起こし、張り付いて固まるもの。
凍結肩は、氷のようにカチカチに固まってしまったもの。

発症原因

糖尿病や甲状腺疾患、デスクワーク等報告がありますが、イマイチはっきりしないのが最悪です。
そしてさらに最悪なのは、全体の改善に、12ヶ月〜の月日を要することです。

よく、一発で五十肩が治った、五十肩を治す体操などと謳われるものがありますが、
それは診断として正しかったのかどうか疑問です。
もし””効く””のであれば1年以上苦しまないじゃないか!と思います。

””炎症””を起こす病気なので、いつ、何が起きているのか、どんな障害かを把握することが何よりの近道です。

肩

図の右肩の赤バツの場所に炎症が起きることが多いです。

中には関節唇損傷や腱板断裂、損傷も含まれ、歳をとるとますますわからなくなります。
腱板断裂は50代であれば10%の人に自然発生しています。
切れた腱板はケバケバして邪魔をするので、肩を上げた時にコクッ!と音がします。

鑑別方法がたくさんあるのですが、今回は割愛します。

病気の期間

主に3期あり、
1. 急性期(生活に支障をきたす痛み、夜間痛)
2. 拘縮期(痛みは減少したが、肩が動かない)
3. 回復期(痛みと可動域が改善していく)

急性期の積極的な関節運動に対する効果の科学的根拠は乏しく、物理療法(電気や超音波など)も根拠レベルは弱いです。
だから病期が長いのです。

強引な治療を行うと、交感神経(自律神経)が過敏になり、激烈な痛みが続く可能性があります。そのため、時期に応じた関節運動とセルフエクササイズがとても重要となります。

どうしましょう?

肩関節周囲炎は炎症がどの程度なのか、
どこの組織がどのように硬くなっているのか、
を判別することが大事です。

「筋肉が硬いからほぐしましょう」は 「×」に近い「△」です。

なぜなら、関節包(関節を包んでいる袋)や滑液包(組織間の滑りを良くする袋)は繊維性結合組織で、伸びにくい性質があるからです。

元々伸びない組織が伸びなくなったらアウトです。

筋肉は組織内で伸びますし、神経学的作用を利用して緊張を落とすことができます。

私が患者に伝える時は、カーテン生地や服の襟を伸ばすような感覚でゆっくり伸ばす作業を継続してください、と説明します。

どのように伸ばせば良いのかは、肩関節の構造を利用し、検査で部位を判別します。

痛い時、肩より上に挙げることが難しくなります。
ちょっとだけ挙げることができるのは、肩関節が3つの関節で構成されているためです。
これを肩複合体と呼び、
1. 肩甲骨窩上腕関節
2. 胸鎖関節(胸骨と鎖骨)
3. 肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨)
の3つで構成されています。
このうち、胸鎖関節と肩鎖関節だけで60°位持ち上げることができます。
その代わり、肩をすくめるように、肩甲骨ごと強引に持ち上げることになります。
この結果、正しい挙げ方がわからなくなってしまうのです。

また、頚椎から出てきた神経が絞扼(締め付けられること)され痛みが出ることもあるので、神経の滑走も留意する必要があります。

ざっくりまとめますと、以下になります。
1.  病期や制限の部位を判別する
2.  筋肉の緊張や神経滑走に留意し、関節包などの硬い組織を柔らかくし、関節の遊びを引き出す
3.  回旋筋腱板を使わせ、骨の位置を正しい位置に導く
4.  重力下で正しい肩甲骨の動き(正しい挙げ方)を引き出す
5.  維持のためのセルフエクササイズを指導する

ここでしかできない、ではなくて、自分で改善する術を覚えて良くなっていきましょう。

日本整形外科学会ホームページ

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